『シェイド! やったぞ、アロット伯爵家の令嬢がお前をお呼びだ! あの家は伯爵家だが、裕福で王の覚えもめでたい良家だ! 上手くやれよ!』

 いつものように縁談話に浮かれる父を他所に、シェイドはいつにも増して行きたく無かった。
 当日は体調不良を訴えて、必死に不参加をアピールもした。
 けれど欲に目が眩んだ父がシェイドのそんな願いを聞き入れる筈もなく、シェイドは引き摺られるようにアロット家へと連行された。

 だから取った態度は今迄で最悪。
 不貞腐れる自分の態度に思うところもあったのだろう。リエラも次第に言葉数が少なくなっていった。

 早く終われとしか思っていなかったから、リエラの顔なんてロクに見てなかった。
 それでも彼女は沢山話していたし、気は済んだ筈だ。どうせいつものように(﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅)終わるだけだと投げやりに結論付けていた。