てか、否定しなさいよ!
 それにこんなのを王家の縁戚に入れるとか、王家をどんだけ醜聞に巻き込む気だ正気かこのア……げほげほ!!

 目眩を起こしそうな話に、けれどそれどころではないと必死に自身を叱咤する。
(これ以上この人たちと関わって巻き込まれたくないわ! 死亡フラグが立ってしまう!)

 逃げなきゃ!

 リエラはキッとアッシュを睨みつけた。
 
「……セドリー令息、手を離して頂けます?」

 向こうがアホだからってこっちもアホになる必要はない。あくまでも冷静に。リエラは自身の手を引いた。

「まだ話は終わっていない! 父上は家門が傷ついたと怒り、母上は泣いておられるのだぞ! 何もかもお前のせいだというのに!」

 あなたのせいですよ、何もかも。
 ──なんて話、この人に通じるとは思えない。
 ぐっと引き寄せられる腕に抗えず、リエラは思わず顔を顰めた。

 ……というか断りもなく未婚女性に触れた挙句、跡がつくほど掴むって、どれだけの無礼者なのだろう。

「話途中で都合が悪いからと逃げる算段か? 同じ手が二度も通じると思うなよ!」

(いや切実に逃げたいよ! こんな話が通じない不可解な生き物とこれ以上同じ空間にいたくない!)

「離して!」
 身体を捩り力任せに腕を振り払う。するとアッシュが紙のようにピュウと飛んでいった。
「えっ」

 嘘?