第二王子は兄君の婚約者が確定してから、自身に相応しいお相手を選ばれた。
(第三王子はまだ婚約者がいない状況だけど、兄二人よりは家格が低くても……いえ、むしろ兄君方の伴侶を見れば低い方がいいだろうと、令嬢全体の志気は上がっているのよね)
 貴族は下位貴族の方が人数が多いのだ。

 ただそこには第一第二王子の選考に漏れた優秀な方々も加わってくるから、どちらかというと状況はカオス。
 リエラのような平和な頭しか持たない者には、あの隙なく埋まる令嬢の合間に、どう割り込み目立つのだろうかと、不思議で仕方がない。

 まあそれを差し引いても彼と関わる気は全くない。……いや勿論あちらもないだろうけど、とにかくリエラにはそんな未来は皆無である。
(そうよ、今日だけなんだから)
 緊張を逃す為、リエラは小さく息を吐いた。

 取り敢えず今は、そんな第三王子のご尊顔を間近で見られただけで眼福と内心で両手を合わせておく。
 自分が彼に近寄る機会は今後得られる筈がないのだから。

 さて、