――今日から、九日間だけ待っている。


――拓人、君はまだ若い。美月と出会って、お互いに本気で恋をして、将来を見据えて結婚をしたことは変えようのない事実だ。私たちも、二人のことは認めている。


――だが、私たちの娘である美月も、君の妻である美月も、残念だがもうこの世にはいない…。だから君は、私たちと繋がっていなければならない理由も、もうないんだ」


繋がっている…理由…


――私たちは、君が美月のことを忘れて、また新しい人生を歩んでもらいたいと思っている。


――それが、君のためだと思っている。


美月を…忘れる…


――心配しなくても、生まれてきた子は私たちで預かり、美月の分まで大切に育てるつもりだ。仮にも一人の子を育ててきた環境と経済力を私たちは持っている。


――もし拓人…君がどんな決断をしようとも、私たちは君を非難したりはしない。


――だが、もし万が一、君が人生を捨ててでもあの子の親になりたいという決意があるのなら、その時は迎えにくればいい。


――その猶予は、あと九日間。


出生届の期限までだ…。