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「でもさぁ、確かにアイツならそういう店の女の子の名前とか、平気でつけちゃいそうで怖いよね…」


紗夜には「アイツ」と呼ばれ、芹香には愛着を込めて「たっくん」と呼ばれる人物。


それは、館林紗夜の父親。


名前は「館林拓人」という。


拓人のことを、親友の父親という関係でありながらも芹香がここまで良く知っている理由は、実のところかなり必然的だった。


拓人は今年で三十五歳となる。


そして十七歳の女子高生である紗夜の、紛れもない血の繋がった実の父親。


それは、今の紗夜や芹香と同じ年頃の高校三年の時には、一人の子供…館林紗夜という娘を持つ、父親という立場になったことを暗に示していた。