平然と奇妙な言い訳を放った紗夜に、つられて芹香が口を開く。


「レベルってなんやね?」


「なんか、そーゆーのの経験値が足りてないっていうのかな?だからまだ私は、恋愛とかをワクワクしながら楽しめるようなレベルじゃないんだよ、きっと」


「そんなん経験値稼ぐんやったら、メタルなスライムばっかり倒せばええやん」


最近、二人が一緒にハマっているゲームを揶揄した会話。


そして二人の会話はいつものように目的を忘れ、あらぬ方向へ脱線して戻ってこなくなるのだった。


ちなみに芹香は自他共に認める大のゲーム好きであり、あまり経験のなかった紗夜がゲームに興味を持ち始めたのも彼女に勧められた影響が強い。


「あはは。でも私、芹香と違って運動もあんま得意じゃないから、散々痛めつけられて最後逃げられるのがオチだしさ~」


笑顔のままで、紗夜は続けた。


「あ、でもね。男の人とは違うけど、芹香のことは大好きだよ?いつもこうやって一緒にいるのもすごく楽しいし」


「……」


不意に放たれた紗夜の恥ずかしげもない笑顔の告白を受けた芹香は、思わず体を強ばらせて言葉を失った。


(なんなんや、この子…。どのタイミングで小悪魔出しとるんや…)


理由はよく分からないが、それがなんとなく癪にさわった芹香は思わず心からの言葉を吐き出していた。


「…うっさいわ、ハゲ」