「僕はアルビノっていう、メラニン色素が薄い状態で生まれたんだ。だから、生まれたときから髪も睫毛も白いし、目だって日本人だけど青い」
……知らなかった。
「……メラニン色素って、なに?」
知らない単語が出てきて、凪くんの顔をうかがいながら訊ねる。
凪くんはすんなりと教えてくれた。
「髪や睫毛、瞳なんかの色を構成する色素のこと。だけど僕はそれが生まれつき少ないから、髪も睫毛も白いままなんだ」
凪くんは「おまけに」と言葉を続ける。
「アルビノの症状のひとつに、【弱視】っていうのがあって、僕もそれなんだ」
「それって、つまり」
「……そう。実は、リンちゃんの顔も、ちゃんと認識できていないんだ」
そんな。
無責任に『綺麗』なんて口にしてしまったことを、深く後悔する。



