世界中に溢れる"美しい"を、ぜんぶ。


けれど、凪くんと同じ空間に二人きりということに緊張してしまって、今度は別の意味で寝れなかった。

目を開けたり閉じたりしているあたしに気付いた凪くんが、「リンちゃん、どうしたの?」と問いかけてくる。


「あの、眠れないんです」


ためらいがちにそう言うと、凪くんは「じゃあ」と言いながら、椅子をソファーの近くに持ってきた。


「……少しだけ、僕とお話ししてくれない?」


透き通った瞳に見つめられながら、あたしはこくりとうなずいた。