「先に言われちゃった」
そんな声が降ってきて、あたしは顔を上げた。
肩をすくめる凪くんは、少し悔しそうに眉を下げている。
「え……?」
「ごめんね、リンちゃんから言わせて」
ふ、と息を吐いた凪くんは、真剣な眼差しであたしを見た。
「僕、リンちゃんのことが好きだよ」
「え」
「この気持ちは変わらないんだ。だけど……」
言葉に詰まる凪くんは、悲しげに目を細める。
「僕は、できないことが多いから。リンちゃんに迷惑かけるって思うと、これ以上好きになったら離れ難くなっちゃうなって」
「そんなの……」
───迷惑、だなんて。
そんなの微塵も思っていない。
「迷惑だなんて、思ってないよ。だってあたしは凪くんのぜんぶが好きだから。凪くんができないことはあたしがする。だから、あたしにできないことは凪くんが助けてほしい。凪くんの隣で、綺麗なものを見ていたいの。凪くんに伝えたいの」
すらすらと言葉が口から出ていく。



