世界中に溢れる"美しい"を、ぜんぶ。


「あたしね……凪くんが好き」

あたしの話をいつも楽しそうに聞いてくれるところも。

微笑みかけてくれるところも。

リンちゃん、って優しく呼んでくれるところも。



他の誰にも出せない、その儚さと美しさも。


ぜんぶ、好き。



拒絶されても、避けられても、あたしのこの気持ちは変わることはない。

凪くんは手で顔を覆って、顔を歪めた。


「参ったな……」


予想していたことだけど、やっぱり衝撃は大きくて。

頭を鈍器で殴られたような感覚がした。



受け入れてもらえないって、こんなに悲しいことなんだって。


想いが実らないって、こんなにも辛いことなんだって。


涙が頬を伝って、床に落ちた。

いたたまれなくて、うつむく。