世界中に溢れる"美しい"を、ぜんぶ。


「とりあえず、ここのソファーに座って」


なーちゃんに言われたとおりに腰を下ろすと、倦怠感がどっと襲ってきて、グタリと倒れ込むように背もたれに身を預けた。


「もうすぐ授業始まるから……なーちゃんもう戻っていいよ」
「そうよね……。教科担当の先生には言っておくから、ここでゆっくりしてなさい。もうすぐ先生来ると思うから」
「うん。ありがと」


掠れた声でお礼を言って、教室に戻っていくなーちゃんの背中を見送った。

なーちゃんが出ていった保健室はひどく静かで、壁にかけられた時計の秒針の音だけが響いている。


なんだか時間がゆっくり進んでいるみたいだ。


保健室にはあたし以外誰もいなくて、静まり返る空間に寂しさを感じつつ、ゆっくりと目を閉じた。


あたしは昔からあまり、風邪やインフルエンザにかかることはなくて、基本的にいつも元気に過ごしている。


だから、こうして保健室に来ることも初めてで少し緊張する。


しばらく目をつむっていたけれど、学校で寝ることになれていないあたしはなかなか寝れなかった。


うーんと唸りながらソファーに顔を埋めていると。