世界中に溢れる"美しい"を、ぜんぶ。


『凪くん。あたしと麗涼祭行かない?』


そう言われたときは、本当に嬉しかった。


……行きたい、と思ってしまった。



最初は世界を知りたいという好奇心だったのに、いつしか彼女がくることを楽しみにしている自分がいた。


彼女に惹かれている自分が。



これ以上一緒にいたら、きっと僕は彼女を好きになってしまう。


彼女にとってそれは迷惑以外の何者でもない。


だから。


────僕は、僕を偽ると決めたのだ。