何も望んではいけない。

どうせ、願ったところで何もできない身体なのだから。


期待してはいけない。


本当は、全く外に出られないわけではなかった。


万全に日焼け対策をしたり、帽子をかぶったりすれば、短時間だけなら外に出ることだってできる。


けれど、僕にはそんな気力すら残っていなかった。



『綺麗』



あの日、彼女はこう言った。


僕の髪色を見て。珍しい青い瞳を見て。


そう、洩らした。



彼女はとっても素直で、優しくて。


綺麗なものをたくさんたくさん教えてくれた。



そうしているうちに、僕には"欲"が生まれてしまった。


太陽のしたに行きたいという願望が己を支配するようになった。


興味を持たないことが一番楽なのに、どうしても知りたかった。


彼女に教えて欲しかった。