「……ごめん、守れなくて」


唇から落ちたのは、そんな謝罪だった。

凪くんは悲しげに顔を歪める。


「なんで?」


……なんで守ってくれなかったの。

そう言うんだよね?分かってる。


軽蔑するよね、裏切り者だと思うよね。


「なんでリンちゃんが謝るの」


けれど、降ってきた声の優しさに、惨めさが増す。


「リンちゃんは何も悪くないでしょ。それに、言われ慣れてるから。普通と違うのは事実だし」
「……っ」
「最初の日に言ったでしょ。僕は僕を可哀想だとは思わないし、同情してほしいわけじゃないって」
「……うん」
「僕は僕の人生を、僕らしく生きる」


……ああ。

なんでまっすぐで綺麗なのだろう。


「だからなんて言われたって、それでいいよ。僕はちっとも気にしない。だから、リンちゃんも悲しい顔はしないで」



凪くんはそう言って、あたしの頬に手を当てた。

そして、あたしの目をまっすぐに見つめる。