世界中に溢れる"美しい"を、ぜんぶ。


先生は驚いたように目を見開いて、口許に手を当てる。


「凪くんが女の子といるところ始めてみたから、なんだかとっても新鮮だわ」


にっこりと笑う先生は「なんの話をしていたの?」と凪くんに問いかけた。


「リンちゃんに、今までの体育祭のことを聞いていたんだ。僕は一回も出たことがないけど、リンちゃんの話を聞いていると、まるで僕も参加したことがあるような気持ちになる」
「いいわね。来栖さん、たくさん話してあげてね」

あたしは先生に「はい」とうなずいた。
先生はにこやかにあたしたちを見守っていたけれど、急に「あ」と声をあげた。


「感心している場合じゃないわ。来栖さんそれで、体調はどうなの?」

正直なところ、もうすっかり頭痛はおさまっていた。

凪くんと話していると本当に楽しくて、痛みなんて全然気にならなかった。