「あの…、さっきの人、もう見えなくなりましたよ」

「あ。ああ、ごめん」

僕の腕をつかむ彼女の手の力が抜けると、僕はまた不安を感じた。

数秒たった。でも、かろうじて、僕らの手はつながっていた。

「ありがとう。あのさ、何かお礼できればいいんだけど…」

「お礼なんていらないです。僕はお金持ってないし」

「失礼な。ガキには援交申し込まないよ。ていうか、援交なんかした事ないし。さっきのは、彼氏にふられてむしゃくしゃしてて・・・。それより、お礼どうするのよ?」

「じゃあ、街を案内してくれませんか?」