いつも僕を痛ぶる小物の一人、江田が女といちゃつきながら倫子に近づく。

「よお、見てたぜ。俺にふられてから、お前も必死だな。あんなクズで手を打ったか。笑えるぜ」

倫子の肩が震えている。

「笑ってんじゃねえ」

僕は全速力で走り、江田を殴り飛ばした。

そのまま馬乗りになり、何度も何度も殴った。

江田も抵抗してきたが、その非力さといったらなかった。

自分を苦しめてきた者が、こんなに弱かったとは気づかなかった。

「もういい。もうやめて」

倫子が僕の体にしがみついて止めた。

背中から倫子の気持ちが伝わってきた。

そうか、君はまだこの男の事を・・・。