「俺と噓結婚して欲しいんだ」「みんなを騙すってことですか!?」







「は、は、はい……」

なんかすごい剣幕で脅されたので、寂しく廊下に立ったまま、おろおろしていました。
これからどうなるんだろう。奥の方でじいやさんが見張っているけど、頑張れば強行突破ワンチャンある。
でも、でも、どうしよう。家まで来たらめちゃくちゃ目立つよ。余計に目立ちます。

 ぼーっとしていると、脳裏に浮かんでくるのは「私がやっといたげるー!」と頼んでも居ないのに代わりに走り出すリンちゃんの姿。
リンちゃん……

リンちゃん、リンちゃん、リンちゃん……

泣き出しそうな私の肩を、何かが叩いてハッとする。

「なに?」

しまった、つい物思いに耽り過ぎた。やっぱりさっさと帰れば良かったですよね。
無表情でぐいいと何か押し付けてくるので反射的にそれを受け取る。