父や兄達は、婚約破棄の事実を知ると烈火のごとく激怒した。


「今すぐ王宮に乗り込もう」
「我らが妹を袖にするなど許せない」
「目にもの見せてやる」

「止めて! お願いだからそれだけは止めて!」


 父や兄がその気になれば、本気で国がひっくり返る。革命が成功してしまう。
 ――――いや、我が家にも王家の血が流れているのだし、あんな男が王位を継ぐよりは余程良いのかもしれないけど。それでも。


「しかしニコル、お前はこのままで良いのか?」

「良い訳ないわ! 当然やり返すに決まっているじゃない」

「さすが我らが妹! では、早速隊を率いて王城に……」

「だから! 武力行使はしないってば!」


 全く、脳筋の家族を持つとこれだから苦労する。わたしを想ってくれているってことは分かるけども、兄達のやり方はあまりにも乱暴すぎる。


「わたしに考えがあるの」