義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます<第一部>

 だから、縁を切るような別れ方になってしまい手紙のやり取りすらできなかった。
 王都の社交界とのつながりが薄い辺境伯だけに、噂もあまり耳にしなかった。辺境伯がなくなった時と、跡を継いだ息子が学園に入学した時くらいだ。話が入ってきたのは。
 嫁いだお義姉様がその後どのように生活しているかという情報は耳にすることがなかった。
「で、とにかく、お兄様もそろそろ身を固めなさいよ。27よ?27。誰かいいなと思う人はいないわけ?どんな人が好みなの?」

「いいなと思う人……?」
 学園で会った生徒の顔が浮かんだ。
「いや違う」
「違うって何が?」
「いや、だから……結婚とかそういう話じゃなくて、続きを聞いてくれよ。とにかく、学園に指導にいって、2時限目が終わり、少し休憩を取った後のことだ。3時限目の授業のため訓練所へと向かうときに、声が聞こえたんだ」
 忘れたくても忘れられない、お義姉様の声。
 5歳から15歳までの10年間。母親代わりにずっとそばにいてくれたお義姉様の声を、忘れるわけがない。
 歓声が沸き上がる中、よく一人の声だけを聞きわけられたなと自分でも思う。
 いいや、聞き分けたというより……お義姉様の声だけがはっきりと耳に届いたのだ。不思議なことに。
 まさかと思った。
 まさかと思ったけれど……。
 騎士団長になった私の噂を聞いて、見に来てくれたんじゃないかと思った。