毎年夏になると、この学校では雪が降る。校庭を夏椿の花が彩るのだ。


それをここでは“雪が降る”と表現し、スマホで撮ってSNSにあげたりする女子も多い。



私はそんな事には一切興味がなくて、単純に、今年も綺麗に咲いたなくらいの感想で終わる。



そして印象的なのは、夏椿が咲く季節に転校生としてやってきたちょっと影のある彼。エスカレーター式の高校で、彼とは2年目の付き合いになる。


勉強も完璧、スポーツも完璧。


――将来有望。そんな言葉が浮かんで、消えた。私なんて、担任から「もう少しなんとかならないか」と嘆かれる始末である。



今日も授業はつまらない。


歴史の授業を担当してる先生は無駄話が好きだともっぱら有名で、これはなんの拷問だろうかとさえ思う。

どうせ身に入らないのだから、文句を言えた筋合いではないが。