滅多になかったチャンスに、ここは思い切って聞いてみよう。
「あのさ俺の名前知ってたんだな」
「もちろん、知ってるよ」
(そっか、知ってくれてたのか…。)
目が合わなくても、名前は分かっていてもらえた
事実が何より嬉しい。
「安藤くんと仲がいいんだね」
ーー………嬉しかったはずなのに。
安藤くんと言うワードに一気に気持ちが下がる
今仲いいって言ったよな?
(どこが……?)
そう言えばさっき安藤に話しかけたからそう思われたんだろう、
「話しかけられたらどんなに良いんだろう」
ボソッとつぶやく壱条の顔が切な気で
「じゃあさ、俺が一緒に話かけてやろうか」
なんて、つい言ってしまう俺はきっとまた朔に笑われるんだろうな……。