キミの恋のはじまりは




真由ちゃんには、潤くんや泉のことを前に話したことがあった。ただ会うのはあのショッピングモールが初めてで、「幼馴染の弟くんの方、あんなイケメンだなんて聞いてないよ!」とずいぶん詰め寄られた。

その後、「あのあと、何かあったでしょ~?!」と疑惑の目を向けられている私。


……でも、どう言っていいのかわからなくて、真由ちゃんにも話していない。


目を眇めた真由ちゃんが私をじーっと見るので、焦って両手をぶんぶん顔の前で振った。



「むりむりむりっ。ほんとにむりだよ〜!」

「そういうと思ったけどさ~、少しだけ?」

「……行かないよ……」

「……そだよね~」



真由ちゃんはなにかを考えたように首を傾げながら、一応の同意をしてくれる。


……泉を思い出せば、体の奥がきゅっと絞られたように苦しくなった。


重なった手のひらが熱くて離して欲しいのに……動けなかった。


あの日以来、泉には会ってない。

というか、そもそもそんなに会うわけでも連絡取るわけでもないから、とくに避けているわけではなくいつものことだ。

私たちって、幼馴染って、そんなものだ。