新しい家の隣にすむ兄弟の弟の方、片桐泉は学校で同じクラスだった。

お隣の義務感か、もともと世話好きなのか、クラスに馴染めない私にとても親切だ。

初めて会った時に頬を摘まれたから少し身構えていたけれど、そんな心配は全然必要なかった。


でも、今日からもう泉は……。


隠された靴だっていつも泉が見つけ出してくれていたから、いざ独りになると自分なことなのにちゃんとできない。


本当は見つかるまで探すほうがいいと、家に靴を履いて帰らなかったら面倒なことになるとわかっていたけれど、今日の私にはもう無理だった。


……もういいや。もう、疲れた。


頭も体も、うまく働かない。


探すのを早々に放棄して、靴下だけの足で帰ることにした。