目尻を赤く染めてゆるりと下げながら笑う泉。
照れたような緩んだ大好きな目元に、きゅんと心臓がなって視界が滲んでいく。
頬を開放した指先が、そのまま流れて私の前髪を撫でて、目元に浮かんだ涙を拭ってくれた。
泉はいつも私の気持ちを汲んで、待ってくれる。
急かしたりせず優しく促してくれて、大丈夫だよって受け入れてくれる。
ずっとあたたかくて、私の気持ちを軽くしてくれる、俯きがちな私をいつだってすくってくれる人。
ね?と泉が頭をかしげて私を覗き込む。
心配ないよって手を握ってくれる。月明かりに照らされたそれは、私の中にきれいな明かりを灯してくれる。
冷たくなった指先が泉の手のひらの温かさで溶かされていけば、胸の底に溜まった気持ちもとろりと流れ出す。
「……今日、見たの。泉が、花島さんにチョコもらうところ」
繋がった手のぬくもりに勇気をもらって、震える気持ちを抑えながら泉を見つめる。
「……ほかの子からのチョコは全部断ってるって葉山さんが教えてくれた。でも、今日、花島さんのは受け取ってたでしょ?」
なにか言ってくれるかと待つけれど、泉は僅かに眉をひそめただけで黙っている。
なのに視線を逸らすわけでもなく、じぃっと私を見つめるままだから、居心地悪くなって言葉の続きを勢いに任せて吐き出した。
「い、嫌だったの……なんか理由があるのかもしれないけど、それでもすごく嫌だったの。泉には私だけがあげたかったのに…私のだけもらって欲しかった!」
あんなに躊躇していたのが嘘のように叫んで、最後の悪あがきで「泉のばか!」と付け加えると、目の前の泉の顔が少し歪んだ。
泉は瞬きを何回か忙しなくして、何かを言おうと息を吸い込んで、でも声が出ることはなくて、そのまま空気を飲み込んで口を結んでしまう。

