泉は長いまつ毛を伏せて「俺、重すぎ。ごめんね」と謝ってくれる。
……謝ることじゃないのに。
だって、好きすぎるの私の方。泉を独占したくてわがままに怒ってるのは私のほうだよ。
泉の全部が知りたくて、誰にもあげたくなくて、私の方がごめんねなんだもん……。
首を横に振った私に、泉は躊躇いがちに指を伸ばして「……触ってもい?」と瞳を揺らした。
黙ったままこくんと頷くと、優しく髪に触れて撫でてくれる。
そのぬくもりが沁みいれば、心がじぃんと音をたてながら解けていく。
おそるおそるとなりを見上げると、すべてを包み込んでくれるような深い濃茶色がゆっくりと弧を描いた。
優しく、少しだけ困ったように、愛しさをのせて、私を見つめてくれる。
「……で、なんかあったんでしょ?大丈夫だから、言ってみ?」
「言ったら……、私のこと、嫌になるかもしれない」
この黒々とした重い気持ちを隠しながら伝えることはきっと難しい。
そのまま、どろっと漏れてしまいそうで、それが怖くて思わず予防線を張ってしまう。
泉の視線から逃げて俯くと、私の髪から滑り落ちた泉の手がそっと頬に添えられた。
「なに、それ。まだそんなこと言う?」
「だって、」
泉になんて思われるかこわい――と口に出す前に、頬に添えられた泉の手に頬をむぎゅっと摘まれた。
「なっ!?」
目をぱちぱちとしながら驚いた私に、泉はずいっと顔を近づけ「嫌とかありえないですけど」と目を眇めてふてくされたようにつぶやく。
「莉世はさ、いつもひとりで頑張りすぎ。無理しすぎ。溜め込みすぎなんだよ」
「い、いじゅみ」
「そんな莉世がさ、心の中、俺に見せてくれたらさ」
「い、いた…」
「もっともっと好きになる以外ないでしょ?」

