キミの恋のはじまりは

「……土曜日、やっぱりいけない」


口にしてしまえば、もう戻れない。

電話の向こうで泉が息をのむのがわかった。



「朝ももう来ないで。帰りも一緒に帰れない」



さっきまで怖くて仕方なかったのに、台本があるかのようにすらすら言葉が出てくるから不思議だ。



『…なんでっ』

「私じゃないほうがいい」

『はぁ?なにそれ、どういう…』

「泉といると忘れたいこと忘れられない」

『……それが、答え?』



泉の声が震えてる。

なにか言いかけ、その度に飲み込むような泉の息遣いが耳に届けば、胸が張り裂けそうだ。



『いまからそっち行く』

「来ないで。親が驚く』

『じゃぁ莉世がうちに来てよ』

「行かない」

『どうしてっ』

「どうしても、もう行かない」