キミの恋のはじまりは

聞かないほうがいい。

そう思うのに、その瞳の奥にある感情に飲み込まれて、操り人形のようにまた椅子に座り直してしまった。

花島さんは、真正面から私を見据えた。



「莉世ちゃんは、片桐くんのことほんとはどう思ってる?」

「…」

「私は…もう告ってフラれてる。でも好きなの。諦めきれない」

「…」



なに、なんて言ったらいいの?

返す言葉が見つからない。

ただ俯くしかない。

私がなにも答えないからだろうか、花島さんは少し苛立ったよなため息をこぼした。



「……ねぇ、片桐くんって優しいよね。律儀だし」



花島さんは、私の頭に染み込ませるように、ゆっくりと続ける。



「だから、責任感じてるだけじゃないかな」



責任。その言葉は、なんでこんなにも重たいんだろう。

重たいのに、私の中にもあるから抗えずにしっくりきてしまう。

パズルのピースがあったみたいに、私の胸の奥にすっと隠してあった疑念にぴたりとはまってしまう。