キミの恋のはじまりは

真由ちゃんが行けないことを伝えると、泉は少し考えて「じゃぁ、高木さんも行ける違う日にする?」と言ってくれた。

……泉なら、きっとそういうと思っていた。

胸の奥がじんわりとしてくる。

いつも私のこと考えてくれて、気遣ってくれる。


『年1の大事な日をさ、莉世と一緒にいたいってことなんじゃないの?』


……そういうことだって、思ってもいい?

私がいいって思ってくれてるの? ほんとに?

差し伸べてくれた手は私だけのもの? 間違えてない?


泉の瞳の中に答えを探す。

けれど、ほんとの答えはきっと私の中にある。

わかっているから余計に俯くしかなくて、ぷるぷると首を振った。



「…せっかくだし、ふたりで行こう?」



自分で思っていたより小さな声になってしまった。なんでかわからないけど目の奥が熱い。

少し待っても返事がないのでおそるおそる視線を上げると、口元を手で隠して耳を赤くしている泉がいた。

そんな彼を見れば、心がくすぐったくて自然と気持ちが解れる。



「…泉?耳赤いよ?」



泉は眉根にしわを寄せたけれど、それは一瞬ですぐに頬まで赤くする。



「ごめん、俺、ハズいよね。でも、嬉しくてだめだぁ~…」



口元に当てていた手を目を覆うように移動させて、上を見上げながら呟いた声に心が震えた。

そのまま、ひとつ大きく息を吐いた泉は私に視線を戻した。

決まり悪そうに、でも嬉しそうに目を蕩けさせる泉に、鼓動が早まる。


「楽しみ」


囁くように言った泉の声に、私はこくんと頷いた。