「泉と葉山さん、けっこう気が合ってるようにみえるけどね」
「はぁ?それ絶対ないわ」
嫌そうな声に、また笑いがこぼれる。
でも、ふたりの間を通り抜けた冬の始まりを含んだ秋風に笑いは攫われて、寒くて首をすくめた。
冷たい風に遊ばれて唇にかかった毛先を払おうとしたら、ふっと視界に影がかかった。
泉が私を覗き込むように首を傾げ、ひんやりとした細い指先が唇に微かに触れて、呼吸を忘れてしまった私の毛先をそっと払う。
月明かりで映える濃い茶色の瞳が蕩けるように細められれば、やっぱり心臓が痛くて息が詰まる。
「髪、ぼさぼさ」
風で乱れた髪に指を通しながら、「莉世の髪は細いから、すぐに絡まるな」とか言ってゆっくりと直してくれる。
…やっぱり世話好きじゃん。そうして、されるがままお世話される私。昔のまま。
髪の上を滑る泉の手の感触が優しくてふんわりした気持ちになってくるけれど、ふいにやっぱりまた心臓痛い。
「ん、直った」
「あ、ありがとう」
泉は最後に大きく指を広げて、首周りにある髪に手櫛を通した。
泉の指先が首筋に触れるから、どきりと鼓動が跳ねて、意識してしまう。
…そもそもなんで私のこと好きなんだろう?
好かれる理由がわからない。
うーん…と記憶を頼りに考えてみる。
……嫌われることなら簡単に思いつくのに、好かれる理由が全く思いつかない。
「はぁ?それ絶対ないわ」
嫌そうな声に、また笑いがこぼれる。
でも、ふたりの間を通り抜けた冬の始まりを含んだ秋風に笑いは攫われて、寒くて首をすくめた。
冷たい風に遊ばれて唇にかかった毛先を払おうとしたら、ふっと視界に影がかかった。
泉が私を覗き込むように首を傾げ、ひんやりとした細い指先が唇に微かに触れて、呼吸を忘れてしまった私の毛先をそっと払う。
月明かりで映える濃い茶色の瞳が蕩けるように細められれば、やっぱり心臓が痛くて息が詰まる。
「髪、ぼさぼさ」
風で乱れた髪に指を通しながら、「莉世の髪は細いから、すぐに絡まるな」とか言ってゆっくりと直してくれる。
…やっぱり世話好きじゃん。そうして、されるがままお世話される私。昔のまま。
髪の上を滑る泉の手の感触が優しくてふんわりした気持ちになってくるけれど、ふいにやっぱりまた心臓痛い。
「ん、直った」
「あ、ありがとう」
泉は最後に大きく指を広げて、首周りにある髪に手櫛を通した。
泉の指先が首筋に触れるから、どきりと鼓動が跳ねて、意識してしまう。
…そもそもなんで私のこと好きなんだろう?
好かれる理由がわからない。
うーん…と記憶を頼りに考えてみる。
……嫌われることなら簡単に思いつくのに、好かれる理由が全く思いつかない。

