「っ、」
首筋を掠る柔らかい髪にどくんと鼓動が激しくなって、目眩がしそうだ。
「…それ、ほんと?」
泉のくぐもった声と熱い吐息が耳を震わせて、体中が熱くなるのを感じた。
それがどういうことなのかわからなくて、身じろぎさえもできない私は「な、なにが」と跳ね回る心臓を必死でなだめながら聞き返した。
「俺のおかげってほんと?」
「…ほんとだよ」
「あの人じゃなくて?」
「……葉山さん?」
オレンジ髪のその人を脳裏に浮かべて名前を呟けば、目の前にある泉の肩がぴくりと揺れた。
わずかに顔をずらしてこめかみを肩に付けるようにした泉の瞳が、切なそうに歪められている。
その瞳に捕まれば胸が軋んで、わけがわからないうちに目の奥に熱が込み上げてくる。
はっ、と短く息を吐き出して、溢れそうな熱さを逃して、泉の深い瞳を見つめ返した。
「……泉だよ」
いま、この気持ちをくれたのは間違いなく泉だ。
目を細めた泉は、そのままゆっくりと1回だけ瞬きをして、再び私に視線を向けた。
「……お礼、いまちょうだい」

