キミの恋のはじまりは


家までの道をふたりで並んで歩いていると、泉がふいに立ち止まる。

不思議に思って見上げると、その視線の先には小さい頃一緒に遊んだ公園があった。



「懐かしいね」



少し、声が震えた。

公園の思い出は、泉と遊んだことよりも、それ以外のことのほうが鮮明だった。

泉が私のそばにいなくなってから、よくひとりで時間を潰してた。ひとりでいる私を潤くんが見つけてくれたし、潤くんがいないときはなぜか潤くんの友達らしい綺麗なお姉さん達がきて、お隣の家に連れて行ってくれた。

お隣の家には当然、泉がいて。

学校で話すことはほとんどなくなっていたけれど、家に行けばいつも私を受け入れてくれた。

泉はずっと優しい。



「なんか、小さく感じるね」


公園に足を踏み入れて、ベンチやブランコを、記憶の中のそれと照らし合わせながら見つめる。


すると、となりから意地悪な笑いを含んだ声が落ちてきた。



「莉世は、鉄棒、嫌いだったな。下手くそでウケた」

「ひどっ。どうせ運動音痴ですよ」

「でも、折り紙はすげぇ上手だった」

「うん。泉は…なんでもできたね、昔から」



うん、昔から。いつも私の気持ちを掬ってくれる。私をあたたかくしてくれる人。