キミの恋のはじまりは

あまり深くは考えず、流れるままその後ろ姿についていく。

葉山さんは少し振り返って



「一応、顔見せておいた方がいいでしょ?」



と曰くありげに微笑んだ。

それは、大事な用事が私に関係があることだと言っているようだ。

心当たりのない私は数回瞬きをして、自分の頭の中を探すけれどやはり答えは見つからない。

真由ちゃんはその意味がわかったらしく、なにか言いたそうに私の方を見ている。



「え、なに?」

「ん~と、」



真由ちゃんに助けを求めるけれど、斜め上に視線を逸らされた。

そうかと思えば、葉山さんと真由ちゃんは目を合わせて、頷き合ったりしている。


このふたり、ほんとに波長が合うらしい…。


また私だけ取り残されて、その真意が読み取れないまま、葉山さんについていく。



「あ、あそこだね」



指差した廊下の少し先には、一際、人の流れがとどまっているところがあった。

よく見ると、”1-B 不思議の国のアリスカフェ”と看板を持った、水色に白のエプロンドレスを着た女の子が立っていた。


1-B?


聞きおぼえのあるクラス。

人溜まりの前にいるよく通る声の子は、最近、私の記憶に残り続けているボブヘアの彼女だ。

まるで体が小さくなったような、奇妙な感覚がして、どくんっと心臓が嫌な鼓動を刻んだ。



「ささ、入ろー」



さくさくと進んでいく葉山さんの背中に急いで声を投げる。



「ちょ、ちょっと待ってください!」



制服のシャツを掴んで無理やりその場に留まってもらう。