泉の色を失っていた目が、いままで見たこともないような気色を含んで急激に歪められていく。
私に伸ばした指先が震えているのは、きっと泉自身も気が付いてないだろう。
『大丈夫?!』
泉は私の髪先から滴り落ちる緑色に触れると、自分の指先に移ったその色を閉じ込めるかのように、ぎゅっと手のひらを握り締めた。
私は急いで頷いた。
だって本当に大丈夫だった。
私なら大丈夫。
泉が汚れてないならそれでよかった。
なのに、泉はそんな私をみて、思いつめたように、小さく小さく呟いた。
『……大丈夫じゃないだろ』
握り締めた拳がさらにきつく結ばれて、泉の唇は切れてしまうんじゃないかというぐらい噛み締められている。

