「……なんで、そうやって笑うんだよ……」
「な、なに、が……」
泉の苦しそうな顔の真意がわからなくて、震える声で聞き返した。
まっすぐに私を見透かすように射抜く視線が、ふっと逸れた。泉が深く息を吐き出すように俯けば、前髪が鼻先を掠める。
身じろぎすることもできなくて固まる私を再度捉えた瞳は、自嘲気味な意地悪な色をのせていた。
「また隠す……」
あまりに小さいそのつぶやきを聞き逃してしまって、窺うようにその奥を見返す。
けれど、包まれていたはずの頬に、ぎゅっと力が加わって左右に引っ張られた。
「い、いじゅみ！い、いたぁ、いっ！！」
思わず叫ぶと、泉は面白そうに口を歪めた。
「なに言ってるかわかんねー」
わざとらしく顔を近づけて１回くすりっと笑うと頬を解放して、泉の体温が遠ざかった。
