「もう泉にはあげない。全部潤くんに食べてもらう!」
「うそうそ、食べる」
「へぇ?いいの?変な味するかもよ?」
「いいよ、莉世が初めて作ってくれたじゃん。絶対、食べたい」
「……」
「だめ?」
「……別にだめじゃない。そのために作ったんだし。食べれば?」
かわいくない返事しかできない私に泉が屈託なく笑って「ありがと」とか素直に言ってくれるから、心臓がくすぐったくて顔が熱くなる。
そんなまっすぐに笑顔見せないでよ。意地悪な泉でいてよ。
自分勝手な悪態を心の中で呟く。
「い、いま、用意するから。お皿、適当に借りるよ」
「ああ、俺も手伝う」
赤くなっているだろう顔を見られたくなくて、後ろにある食器棚に手をかけた。
なのに、キッチン側に回り込んで、私の横に来る泉。
すぐ隣にある泉の気配が濃くて、呼吸の仕方を忘れてしまいそうだ。

