「あのっ」
早くこの気持ちを消化したくて、震えそうな声を必死に抑え口を開く。次の言葉を出そうとしたのに詰まったその隙に、泉の声が聞こえた。
「あー、ごめん。莉世はだめ。連れてかない」
泉が少し身を捩ると花島さんの指がするりと離れた。一瞬、花島さんは僅かに目を見開いたけれど、すぐにもとの笑顔に戻って泉を見上げる。
「えー、なんで?きっと楽しいよ?」
「どうしても。もういいだろ。とにかく今日はもう解散」
泉は話を打ち切ってみんなを玄関へ追い立てるように急かすと、それまで黙っていた潤くんの笑いを含んだ声が隣から小さく聞こえた。
「あれ、相当頑張ったね?」
「……なにが?」
意味がわからなくて聞き返すと、潤くんはやっぱり答えをくれない。首をかしげる私をそのままにして、キッチンから出て泉たちの方へ行ってしまった。
「俺、駅前の本屋に行きたいから、みんなのこと送ってくるよー」
「え、いいよ、俺が行くし」
「いいから、先に夕飯食べてなよ」
「でも」
「ほらほら、みんな行くよー、送ってくよー」
潤くん特有の人懐っこい笑顔で言えば、友達たちは「あざーすっ」「わぁ嬉しい」「莉世ちゃんまたね」とか言いながら帰っていった。

