「そうだ!莉世ちゃん、うちの文化祭おいでよ?」
いいこと思いついた、とばかりに目の前で手をぱちんと合わせた。それに合わせてまわりのみんながうんうん頷く。
「花島~、それ、めっちゃいい案!」
「莉世ちゃん、俺、案内するっ!一緒に回ろう!」
「よかったら、お兄さんも来ませんか?」
「私たちで案内しますよ~」
みんなの視線がこちらに向いているので返事に困って泉を見れば、それはもう誰がどう見ても不機嫌丸出しの顔と出会う。
けれど、花島さんと呼ばれた彼女は口元を緩めながら、その手で泉の制服のシャツを少し摘んでかわいらしく言った。
「ねーねー、そうしようよ、片桐くん」
花島さんに視線を移した泉の表情からふっと不機嫌さが抜けた気がした。それを目の当たりにすれば、奥から出てこようとする自分勝手な想いを見ないようにした。
……やっぱり、近い。
私の知らない泉ばかり。なんか、もう、見ていられない。

