キミの恋のはじまりは



潤くんの目線を追うようにゆっくりと振り向くと、見慣れない人たちの中で、馴染みのない笑顔をみせる泉がいる。

急いで前に向き直せば、潤くんに見つかって「泉、呼ぶ?」と気を使われてしまったから、慌てて首を横に振った。

残りのスイーツをのろのろと口に運んでいると、潤くんは「大丈夫だよ」と私の頭をくしゃっと撫でてくれる。


大丈夫、なんて。違うのに。

泉は、あっちが似合う。わかってるから平気。

もう間違えない。


冷たい水を喉に流し込んで気持ちを切り替えようと、息を吐き出した。

帰ろうとスツールから立ち上がったけれど、なんでかわからないけど口実だっただろうことを、一応潤くんに聞いてみた。



「……夕飯、簡単なものなら、ほんとに作ろうか?」

「え、うそ。莉世、作れるの?」

「えぇ?なに、それ。潤くん失礼だね」

「いや、だってさぁ……」



自分があんなこと言って私の腕をひっぱったくせに。心外な言葉に私は唇を尖らせた。


あ、でも、さっき夕飯買ったって言ってたから、余計なお世話だったかな。