「ああ、いま偶然会った。俺はコンビニの帰り」
潤くんは、さっき私にもそうしたように、軽くビニール袋を上げて見せる。
ど、どうしよう。
このまま振り向かないのも変だよね?!
すぐ後ろに泉がいると思うだけで体が思うように動かない。心臓がばたばた走り回って煩わしくて胸を抑えた。
「あのさ、莉世……」
泉が何か言いかけた時、明るい声がその言葉を遮った。
「えっ、片桐くんのお兄さんですか?!」
あ、この声、聞いたことがある。
反射的に振り向けば、頭の中に浮んだたった一度会っただけの女の子が泉の背後から顔を覗かせていた。
ふんわりと揺れるボブヘアに、人懐っこそうなくりっとした瞳、かわいらしく赤い唇。
『片桐くん、よかったらこれも使って』
あんなに短い時間だったのに、彼女はしっかりと私の記憶に残っていた。

