え、え、えぇ?!
な、なんで呼ぶ?!
あんぐりと口を開けた私の耳元に顔を寄せて「ごめんね」と囁く潤くんは、なぜかとても楽しそうな声音だった。
「あ、兄貴、と…」
背後から聞こえた泉の声が少し戸惑ったようなそれだったのは、きっと私に気がついたからだろう。
足音が近づいてきて、私のすぐ後ろで止まる。
「さっきラインしたんだけど。文化祭の準備終わらなくて、今日、母さんいないしうちでやろうってなって。いい?」
「あ、本当だ。いま見たわ。うん、もちろんいいよー」
スマホをポケットから取り出して確認すると柔らかく笑った潤くんは、私へ視線を落とした後、可笑そうに笑った。
わ、笑えないよ、全然、おかしくないよ!!
上目遣いで潤くんをむっと見るけれど、まったく堪えた様子もなく、私と泉を交互に見て笑っている。
背中に言いようのない不穏な空気を感じて、小さく縮こまっていれば
「…なんで莉世、兄貴といんの?」
泉の気色ばんだような低い声が聞こえて、まずます振り向くこともできず俯いた。

