キミの恋のはじまりは



学校からの帰り道。

電車を降りて駅から家まで、いつものよう独り歩いていた。


今日は文化祭の準備、あまり進まなかったな。


そんなことを思い出せば、今日話した幼馴染の彼のことも思い出して、少し重くなる気持ち。


……幼馴染でいてくれるだけでも、泉の優しさだ。

私はそれに甘え続けてる。


足元に視線を落としながらとぼとぼ歩き、ふっと視線を上げれば見覚えのある背中が少し先に見えて、思わず足を止めた。



泉だ。

あ、…友達と一緒?


泉と肩を並べて歩くのは、同じ制服を着た子たち。


……泉の隣で彼を見上げながら話しているのは、たぶんショッピングモールにいたあの子だ。


自分でも気付かないうちに、自嘲気味に口元が歪む。



やっぱり、変わらない。

私と泉は、いつもこの距離なんだ。