いま、私は泉の家のカウンターキッチンの端っこで小さくなっている。
で、できるだけ気配を消そう……、なんなら呼吸も抑えよう。
けれど、縮こまりながらもあっちのほうが気になって、遠慮がちに視線を流す。
視線の先には見慣れたソファがあった。小さい頃、私がよく座らせてもらっていたアイボリーのソファー。
……見慣れた空間であるはずなのに、それは知っているソファーじゃないみたいだ。
それに体を沈める男の子2人、その前にあるローテーブルを囲むように座っている女の子3人。傍らに立つ泉。
自分たちで買ってきたジュースやお菓子など広げながら、なにか作業を進めているみたいだけど、私にはわからない。
女の子が「これどう?」と泉の袖を引けば、その隣に腰を下ろしながら「いいじゃん」と笑う泉。
……そっかぁ、そんなふうに笑うんだ。
知らなかった、見たことなかった。
……見たく、なかったな……。
ちくりと胸の奥に走った違和感を、知らないふりして押さえ込む。

