プレゼントは君がいい



「……私でいいの?」


「当たり前でしょ。他に考えられない」




その言葉に思わず涙が零れた。



あぁ、本当に私を必要としてくれた人がいた。


会社を動かすただの歯車の一部ではなく。


本当に私を大切に思ってくれる人。




着けてもいい?と聞くと、照れたように頷いたので遠慮なく左手の薬指にそれを着ける。





「綺麗?」


「うん、めちゃくちゃ似合ってる」






輝く指輪を見つめながら、疑問がひとつ浮かんだ。


なぜ、今?



不思議に思い訊ねると、彼が困ったように笑った。





「誰かさんが社畜のおかげで、いつのまにか12時を回っちゃったんで」


「え?」


「誕生日でしょ、今日」




そこまで言われて、やっと気付いた。


今日、私、誕生日だ。




本当に忘れる人なんているんだね、と笑う彼を見て、私も笑った。



でもこうやって覚えててくれてくれる人がいるから今日まで頑張れたんだよ。



いつもありがとう、の気持ちを込めてキスをする。






「本当は明日、もっとロマンチックな感じで渡そうと思ったのに」


「そうなの?」


「誕生日おめでとう」




照れたように笑う彼の表情を、この先も近くで見たいと、そう思った。