【雪希side】
綺月と菜穂が居なくなった病室には、気まずい空気だけが残っていた。
それを振り払う勢いでため息を零す。
「お前らさ、いつまで恋人ごっこしてるの?」
「恋人、ごっこ…?」
俺の哀れんだ目と聞き捨てならない言葉に、桜の眉がピクリと動く。
それでも俺は躊躇なく本心を口にする。
「お前らが付き合おうが別れようが俺はどっちでもいいし、正直関わりたくもないけどさ、菜穂をこれ以上傷つけるなら黙ってないから」
「…悪い」
「本当に悪いって思ってんの?」
いつでも賢くて、周りに流されたりしないユキは昔からかっこよかった。
だけど、桜に縛られるようになったユキはお世辞でもかっこいいとは言えなかった。
「なぁ、ユキ」
いい加減気付けよ。
お前を大事に思ってるのはすぐ近くにいるし、お前が大事に思うのは桜じゃないだろ。
「女が冷める時は一瞬だからな」
「私は冷めたりしないから、もう行こう幸人」
まだ何か言いたそうな顔をしていたが、桜の力に抗うことはせず幸人はそのまま桜と一緒に病室を出て行った。
綺月と菜穂が居なくなった病室には、気まずい空気だけが残っていた。
それを振り払う勢いでため息を零す。
「お前らさ、いつまで恋人ごっこしてるの?」
「恋人、ごっこ…?」
俺の哀れんだ目と聞き捨てならない言葉に、桜の眉がピクリと動く。
それでも俺は躊躇なく本心を口にする。
「お前らが付き合おうが別れようが俺はどっちでもいいし、正直関わりたくもないけどさ、菜穂をこれ以上傷つけるなら黙ってないから」
「…悪い」
「本当に悪いって思ってんの?」
いつでも賢くて、周りに流されたりしないユキは昔からかっこよかった。
だけど、桜に縛られるようになったユキはお世辞でもかっこいいとは言えなかった。
「なぁ、ユキ」
いい加減気付けよ。
お前を大事に思ってるのはすぐ近くにいるし、お前が大事に思うのは桜じゃないだろ。
「女が冷める時は一瞬だからな」
「私は冷めたりしないから、もう行こう幸人」
まだ何か言いたそうな顔をしていたが、桜の力に抗うことはせず幸人はそのまま桜と一緒に病室を出て行った。


