再び、光が差す-again-〈下〉

「どんなに幸人があなたに時間を割いても、恋人ではないあなたが幸人に触れることは叶わないのよ」


桜は菜穂の髪の毛を耳にかけると、ゆっくりと耳元まで顔を近づける。


「幸人がこの先あなたを好きになっても、キスやセックスをする相手は私よ」


これから先も幸人は菜穂を選んだりはしないと釘を刺すような言い方に、咄嗟に綺月は桜の肩を掴んだ。


「何のつもりですか」

「別に?傷つく前に教えてあげようと思って」

「幸人があなたの本心を知ったら幻滅しますよ?
なんなら言ってやりましょうか?」

「言ったって無駄よ、幸人は必ず私を選ぶから」


偉く自信たっぷりで高圧的な態度に綺月は腹の奥底から苛立ちが込み上げてくる。

殴ってやろうかと強く手を握ると、菜穂が綺月の服を引っ張る。