「そんなことないです。
雨の中あなたに傘を差してくれる人もいつかは現れるし、この雨も必ずいつかは止みます。
だから、変わらない明日なんて無いです。
突然大きく動き出す時が絶対に来ます」


自分がそうだったからといって、男がそうなってくれるとは限らない。

でも、曇り一つない真っ直ぐな目で見つめて、真面目に伝える私に男は興味深そうに顔を見てくる。


「お前、変だって言われるだろ」

「……言われません」


男がそう問うと、よく言われる言葉に私は目を左右に揺らしてぎこちなく否定する。

その時、私の携帯が鳴る。


「出ろよ」

「ごめんなさい」


私はさっきから握り締めていた携帯の画面を見ると、着信元は何度も電話をかけていたカオルだった。

私は急いで着信に出る。