再び、光が差す-again-〈下〉

紀子さんは私たちの顔を見て、そして毎日違う花が花瓶に刺さっているのに気付き、目に涙を浮かべる。

小さなテーブルにはいつだって沢山のお菓子や飲み物が置いてあって、それは日に日に増える一方だ。

毎日誰かが足を運び、雪希に会いに来てくれることに紀子さんは嬉しくて堪らないといった表情をする。


「ありがとうね、ありがとう」


嗚咽が混じる声で紀子さんは何度もお礼を言った。

その度に私と菜穂は何度も「大丈夫です」と答えた。

少しの時間だったが、三人で他愛の無い日常の話をした。

学校はどうだとか、将来は何になりたいだとか、親が子供にするような質問を紀子さんはしてきた。


「もう遅いからおばさんが車で送っていくわね」


そろそろ帰った方がいいと紀子さんが立ち上がる。


「え?いいですよ!」

「駄目よ、何かあってからでは遅いんだから!」


紀子さんはカバンを手に取り、遠慮する私と菜穂の手を引っ張り病室を出ようとする。