「俺、お邪魔しますじゃなくてただいまが良いんだわ」

「…うん?」

「目覚めた時、綺月が俺の腕の中に居てくれたらいいのになって毎日思うんだわ」

「………うん」

「家まで見送るのももう勘弁、ここ最近家の前でやっぱ連れて帰ろうかって考える」

「……そうなんだ」

「ゆくゆくは結婚するし、子供も産むけど、とりあえず一緒に住まない?」


カオルは息をするかのように結婚と子供のワードを出してきて、明らかに戸惑う私の唇に更に戸惑わせるようにキスをする。


「綺月の母ちゃんには俺が口説くから」

「…口説くじゃなくて説得って言って」

「んじゃあ、説得するから」


母をあの家に一人にするのは気が引ける。

でも会いに行こうと思えば会いに行ける距離だ。

それになにより私もカオルと同じ気持ちだった。


「…住む、一緒に住む」


そう答えると、カオルは本当に嬉しそうに笑った。