再び、光が差す-again-〈下〉

その一週間後、夏休みの最後の日にお姉ちゃんと聡さんは母に会うことになった。

母は朝からずっと心ここに在らずだった。

落ち着かせるためにパソコンを起動させ、キーボードを叩いているが暫くするとその手は止まる。

そしてハッと我に返ったようにまた叩いては止まる、その繰り返しだった。

傍から見ても、明らかに動揺している。

そして私自身も勉強に身が入らず、ずっと同じページを開いていた。

この家は尋常じゃないくらいの緊張が走っていた。

そんな家のインターホンが鳴る。

今までで一番大きい音だったように感じ、私と母は驚いて肩が大きく跳ねた。

母は息を吐くと、パソコンをゆっくりと閉じた。

私はインターホン越しに返事をして、今までに無いくらい家の扉をゆっくりと丁寧に開けた。

カンカンに照らす日差しにやられたのか、目の前に立っているお姉ちゃんと聡さんは少し汗をかいていた。


「…迷わなかった?」


私がそう聞くと、


「何年も来てなくても、さすがに迷わないよ」


お姉ちゃんは私の問いに可笑しそうに笑った。

その笑顔はぎこちなくて、お姉ちゃんも同じように緊張しているのだと分かる。

でもお姉ちゃんの緊張は、私とは少し違った。

自分を苦しめたこの家を跨ぐ恐怖の緊張だと思う。

そんな恐怖心を持ちながらも、お姉ちゃんは聡さんと一緒に家の中へと入る。